医療議連に寄せられたご意見

医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟

医療議連に寄せられたご意見

産婦人科勤務医の立場から一言申し上げます。(Uさん・医師)

「医療現場における危機の現状とその打開策について」

産婦人科勤務医の立場から一言申し上げます。

○産婦人科医療現場における危機の現状
2008年3月25日の読売新聞では、「全国で産科医不足が深刻化している問題で、舛添厚生労働相は25日の閣議後記者会見で、分娩の休止や制限を予定している医療機関が今年1月以降、全国で77か所に上り、この中の7か所は地域内での医師の確保が困難な見通しであることを公表した」と報道されたように、産婦人科医療現場での産科医不足が社会問題化しています。

○産婦人科医療現場における危機原因
こうした産科医不足の原因として、産科医療事故の刑事事件化などが言われていますが、私は、その一番の原因は、中小病院が多すぎるからであると思っています。

例えば、年間200のお産を1~2人の産科医でする場合、その産科医が一年中病院に張り付くことになりますが、年間200のお産の場合ですと、お産がない日も当然あることになります。つまり、事後的にはその日が何もなかった日だったにもかかわらず、携帯電話を片手に「どんなお産があるか判らない」と緊張の時間を過ごしたことになります。

こうした緊張の時間は、事後的にみれば全く無駄な時間であったにもかかわらず、携帯電話を片手に過ごす日々の緊張感、束縛感は相当なものでありますから、携帯電話を持つ必要のある日が少ない他科の医師と比較すると、インセンティブの面からも産婦人科勤務医には不公平感が生まれてきます。

○産婦人科医療現場における危機の打開策
このように「産婦人科の医療現場の危機」は、こうした産科医の心の危機に起因するものと言って良いのでしょうから、その打開策としては、産科医が1~2人しかいないような中小病院を早急に統廃合し、例えば年間1000のお産を5~10人の産科医でするようにすることにあると考えます。

そうなれば、産科医一人当たりのお産の数は変わらないとしても、携帯電話片手の時間はずいぶんと減るでしょうから、産科医としては、体力的、精神的にずいぶんと楽になりますし、産婦人科の医師数が増えれば、自ずとその病院の産婦人科医療レベルも上がることになりますから、福島の「大野病院」や奈良の「大淀病院」のような「一人医長」による産科事故報道も少なくなって、安全で安心のお産が出来るようになるはずです。

ただ、こうした分娩施設の集中化によって、地域の、お腹の大きな妊婦さんが、遠くの大きな病院にまで「妊婦検診」に通うのは大変だとする地域住民の声に、行政の視点からすれば、対応する必要はあるでしょう。

そこで例えば「妊婦検診」の日を決めておいて、その日にはそれまで通り、大きな病院から出向した医師が地域の従来の病院で検診することにして、いざ「お産」となれば、大きな病院で安心して生んでもらうと言うような、妊婦の緊急搬送システムをも含めた「新しい医療」の制度設計がどうしても必要となってくると思います。

また、その大きな病院に「バースセンター」を併設して、そこでは助産師さん中心の「お産」を行うようにすれば、多様化する妊婦さんのニーズにも「安全第一」で応えられることになり、なお一層、喜ばれるかも知れません。

○産婦人科医療現場における危機打開に望まれること
 以上が産婦人科勤務医からの愚見ですが、こうした病院の統廃合は、大学医局が主体となって維持されてきたこれまでの医療体制のもとでは不可能ですから、大所高所の視点からの病院再編が喫緊であると考えます。

 添付としまして、一昨年に「私の視点」に載せられた私見をお送りさせて頂きますので、これにもお目通し頂けたら幸いです。

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