医療議連に寄せられたご意見

医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟

医療議連に寄せられたご意見

新しい医師の組織の執行部の一員として活動しております。(Mさん・医師)

愛知県の精神科医です。新しい医師の組織である全国医師連盟準備委員会の執行部の一員として活動しております。

私は内科医として2年働いた後、元々の希望であった精神科医に転向し、大学病院にて研修後は市中総合病院精神科を経て、現在は単科精神科病院にて勤務医として働いております。昨今の医療崩壊と言える現状に対して声を上げるべく、全国医師連盟という新しい医師の組織を立ち上げるために活動しています。

全国医師連盟の活動の中においては、医師の労働環境の改善、医療情報の社会への啓発、医療関連裁判への対策等を中心として活動方針を検討しておりますが、今回は私の専門である精神科に関連した医療危機について主に述べたいと思います。

精神科という診療科での最も大きな問題は、1つ目に度を過ぎた低医療費政策だと思っています。また、2つ目に医療という不確実なものにおける社会による病院への責任転嫁です。身体科の病院・医師が「他の患者さんに何かあったら責任上、困るから」等の理由で、精神科患者の診療を一律に受けなくなってきています。

精神疾患を抱えた患者さん、特に統合失調症、うつ病などの長期にわたる重篤な疾患に罹患した方々は、日々の苦しみが大変大きく、ご家族も大変な思いで日常を過ごしていらっしゃいます。ところが、保険診療では、精神医療には本当に安いお金しか掛けられていないから、日本の精神科診療はハード面・マンパワー面とも信じがたいほどの低レベルです。

単科精神科病院については医師配置基準が一般病床の3分の1に設定されており、保険点数もそれに見合った収入しか得られないようになっています。看護師配置基準も一般病床より少なく設定されていますから同様です。

総合病院の精神科では、人員の配置基準は一般病床に準じますが、保険診療では収入が低すぎて維持できませんから基本的に赤字部門であり、全国の総合病院精神科(病床あり)は、増大する社会的なニーズとは裏腹に、徐々に閉鎖または縮小しているようです。また、病床のない総合病院精神科については、外来患者さんが多ければ黒字部門にはなり得ますが、多数の患者さんが来院するにもかかわらず精神科医は慢性的に不足しており、外来診療での責任・労働量の重さに燃え尽きて退職してしまう医師も多いようです。

精神医療については、夜間救急に関しても切実な問題がいくつかあります。まず第1に、精神科において夜間に急患として来院される患者さんは、リストカットや大量服薬、服毒などによる身体的な問題を合併することが多く、単科精神科病院では受け入れは困難です。そういった患者さんは、昨今の病院への責任転嫁の増大から、総合病院の身体科では入院を受け入れてくれないことが多く、加えて総合病院精神科は全国的に閉鎖・縮小傾向ですから、夜間救急の患者さんの行き先は無くなってきています。そのような患者さんが死に到る確立は少ないにせよ、入院受け入れができない状況が続けば死亡率は必ず上昇していきます。第2に、夜間救急については、患者さんの不穏、興奮、暴力などによる診療上の危険が、夜間のマンパワーの減少によって日中より増大します。実際、看護師、医師とも命懸けの対応を要求されることもしばしば見られます。保険点数は安く設定され夜間の人件費にお金を掛けられないことから、興奮の強い患者を受けることが困難なことが多くなり、患者さんの行き先は徐々になくなってきています。

以上の点から、精神科の医療現場における危機を打開するには、低医療費政策を止める事、そしてむやみに病院・医師へ責任を転嫁しないシステムを作ること、を提案します。

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