医療議連に寄せられたご意見

医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟

医療議連に寄せられたご意見

医療崩壊の根源は1983年の医療費亡国論に端を発する・・・(Mさん・医師)

序言
医療崩壊の根源は1983年の医療費亡国論に端を発する医療費抑制政策に起因している事は、今や自明である。しかしその打開の為には、高齢者を主対象とした慢性期医療の現場が抱える諸課題の解決ぬきには、急性期医療崩壊の防止も不可能である事を認識すべきである。
【1】 高齢社会への突入
2007年度末での最終統計は未確定だが、高齢化率は21%を超え、世界初の超高齢社会に突入する。後期高齢者の入院患者数に限定しても、2055年まで高齢者医療需要は増大のまま推移する。
【2】 要看護・介護患者数と基礎疾患
【1】の帰結として、要看護・介護患者数も同様に増加の一途と予想される。基礎疾患では、厚労省統計では常に2位 高齢による衰弱とあるが、老年医学・医療での統計では、1位 脳血管障害、2位 アルツハイマーを主とする老人性痴呆、3位 骨折を主とする骨関節疾患、4位 パーキンソン病を主とする神経難病、5位がその他であり、高齢による衰弱は出てこない。言い換えると要看護・介護患者で医療を必要としない方はいないのである。即ち、超高齢社会では、医療と福祉の両者が整備され初めて長寿を祝える国創りが可能となる。
【3】介護病床の廃止と更なる病床削減
厚労省は老健へと誘導するが、高齢者の終末期医療は、現状の療養型病床の人員基準でも、医師を始めとする技術職のエネルギーコストは多大である事を、厚労省の官僚は知る由もない。
ましてや、患者・御家族がいかに大きな不安を抱えているかは別紙資料の如く一目瞭然である。
【4】医療区分の導入
本来高齢者医療では出来高制の下、乱診乱療が反省され、一部定額制の導入によるCareからCureの流れが定着しつつあったにも関わらず、科学的根拠のない「医療区分」(これを私は「医療処置区分」と呼んでいる)が導入された。これは難病患者や特定の重症者並びに重度障害者だけを医療区分②、③とし、それ以外の全ての患者を一括して医療区分①とした。しかも区分①には、ケアでは重要且つ手間のかかる処置である吸引、胃瘻、経鼻経管栄養、留置カテーテルの管理などまでも含まれる。そもそも看護・介護の重症度である要介護度とも全く相関が認められないのである。ちなみに医療区分③というのは、ICU対象患者ともいえるもので、これでは高齢者医療をCareからCureへ逆行させる流れをも誘導しかねない。
しかも医療区分①の診療報酬は介護老人保健施設に要介護度①で入所した時よりも更に低い、1日7,640円となり30%以上も減額されたのである。これでは医療の効率化に名を借りたベッド潰しが見え見えである。
【5】障害者施設等一般病棟からの脳卒中後遺症患者の排除
要看護・介護患者が病状不安定となった場合、必ずしも急性期病院に送る事なく、患者・御家族も安心して療養病床にて適切な医療を受けられるのは、正にこの病床の存在があるからである。前述の如く要看護・介護の基礎疾患は、神経難病のみではないのである。それとも神経難病以外の基礎疾患にて要看護・介護となった高齢者は、障害者に非ずとも厚労省は強弁するのであろうか?!
最後に
療養病床の果して来た機能は資料の如くである。もし療養病床が厚労省の狙い通りに潰されたり、経営が立ち行かなくなった場合に予想されるのは、高齢者の急変時に、在宅・特養・老健からの患者搬送はすべて急性期医療の現場へと向うはずである。それはもう既に始まりつつあるのである。
 日本のベッドは決して厚労省のデータ通り、多すぎないのである。療養型病床の健全な維持こそが、急性期医療の崩壊を食い止める主要な一課題である事を強調したい。

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