なぜ急に医師不足といわれるようになったのでしょうか。(匿名希望・医師)
数年前までは、産科医療は曲がりなりにも何とか回っていました。なぜ急に医師不足といわれるようになったのでしょうか。
1、新臨床研修制度の導入
人手不足になった大学が関連病院から医師を引き上げたからです。人手不足の原因は、研修医が、雑用をさせられていたことです。医師が診療、研究、教育に専念できるように、大学病院だけでなく病院の職員を増やし、今まで医師がしていた雑用を減らすべきです。
研修制度も、産科、小児科、麻酔科だけでも最初から専攻できるようにするなど、選択肢を広げても良いと思います。
少ない医師数で多くの分娩を扱わざるをえない現状では、国公立病院医師も院外での兼業を認め、開業医も含め、仕事を分担して、休息を取れるようにしないと、勤務医も開業医も疲れきってしまいます。
2、 看護師内診の禁止
「看護師の内診も可」とするだけで、分娩取り扱いを再開する開業産婦人科医は少なくないはずです。助産師会、看護協会は、看護師内診は危険といいますが、その根拠は何でしょう?堀病院の妊婦死亡も、内診との因果関係はなかったはずです。助産師外来でのエコー検査のほうが、問題が大きいと思います。看護協会、助産師会の行動には怒りを覚えます。
看護師が内診をしていても、妊産婦死亡も新生児死亡も先進国中でも最も少ないレベルでした。それは、ほとんどすべてのお産に医師が関与しているからです。正常産を助産師に、という意見がありますが、助産師は産科医の代わりにはなりません。突然起こる異常に対応するには、最初から医師の関与が必要です。注射、血管確保を含め、看護師、助産師が診療の補助をするなら、一人の医師で、助産師の何倍かの分娩は扱えます。
3、 診療の結果を刑事告訴の対象にしたこと。
医療には、もともと危険が伴いますし、病気そのものが命を縮めます。結果が悪ければすべて医師のミスというのでは、医師の士気は衰えます。
脳性まひに対する、無過失補償制度にしても、なぜ、医師が保険料を負担するのでしょう。脳性まひの大部分は、出生前に診断できないことがわかっています。原因によらず、脳性まひ児の療養に必要な費用を補助するという方が良いのではないでしょうか?
裁判所は、真実を明らかにする場ではなく、単に言い争いをしているだけです。現在検討されている「医療事故調査委員会」を、真の原因究明の場とし、その後の医療の進歩に寄与するものとするためには、専門家である医師を中心とすべきです。患者代表の感情で、判断が左右されることの無い様にすべきですし、善意の医療の結果は基本的に刑事免責とすべきです。もちろんすべての議論は患者のプライバシーに十分配慮しながら公開すべきとは思います。
4、 診療報酬の削減。
これが一番肝心ですが、削減を続けると、病医院の経営が成り立ちませんし、医師の士気も更に下がることになるでしょう。いったん崩壊した医療は、医療費を増額してもすぐには元に戻りません。イギリスが良い例です。日本も同じ道を進むのでしょうか?医療費削減の根拠は「医療費亡国論」でしょうが、日本は先進国中医療費が最低レベルです。かつて、医療費の多い国が滅んだのでしょうか?現在国会では道路財源を確保することが争点になっていますが、医療の現状を考えれば、国民の生活にとってどちらが優先すべき事柄なのでしょうか。医療、福祉が充実すれば、国民も安心して、働けます。また、医療、福祉は人手のかかるものですから、これらに力を入れることで、雇用の創出も図れるはずです。
分娩一時金も、最低でも70万円以上くらいに増額し、産科医への報酬も増額すれば、産科を志望する医学生も増えるかもしれません。
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