医療議連に寄せられたご意見

医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟

医療議連に寄せられたご意見

「訴訟・訴追リスク増大による萎縮医療の蔓延」の問題(Fさん・その他)

「訴訟・訴追リスク増大による萎縮医療の蔓延」の問題は、医療現場においては大きな問題である。医療行為は侵襲性を伴った行為であるので、こうした問題はある意味不可避である。しかし、現状をみるとそうした問題が実像よりも大きくなり、さらに問題を歪曲している側面もある。訴追というのはおそらく刑事裁判を想定してのことであろうが、刑法でいうところの過失は、「ついうっかり」というほどの意味ではなく、結果予見可能性や結果回避可能性さらには条件関係の存在を前提として相当因果関係によりきわめて限定されている。したがって、不可抗力(行為時に期待される行為をしても結果が発生)は当然に処罰の対象とはならない。また、民事裁判においても、債務不履行や不法行為の認定において過失の認定は厳格になされ、損害の公平な分配という観点から判断されている。つまり、医療者として行為時において期待される注意義務を果たしておけば、民事・刑事上の責任を問われないということである。また、実際上、患者側が訴訟を提起しようとしたとき、弁護士に依頼した段階で、弁護士が訴訟として成り立つかを判断していることが多い。ある弁護士によると、患者側の相談で、訴訟にまで至るのは1割もない。つまり、弁護士段階で収束しているケースが多いことになる。これらの弁護士への相談は、患者側にとっては、想定外の悪い結果が生じたと感じていることが背景にある。つまり、本当の意味でのインフォームド・コンセントが機能していないのである。このことは、医療現場でのコミュニケーション不全を推認させる。
避けられる悪い結果を医療者の不注意から生じさせたのであれば、法的責任は問われるべきである。しかし、同時に何ら責任がないのに悪い結果が生じた場合には、医療者は責任を問われるべきではない。そうしたことを保証するのが法である。こうした法の意味(たとえば、刑法は自由を守る法)を理解するならば、訴訟を必要以上に恐れる必要はない。問題は、濫訴の弊をなくさなければならないということである。そのためには、免責をだけもとめるようなインフォームド・コンセント(法的概念としてのIC)ではなく、両当事者間のコミュニケーションをとおしての信頼の構築に着目すべきである。実際、医療訴訟の原告で医師に対する不信を一般化させている例は少ない。個別的に医師を判断し、被告以外の医師に対して強い信頼を寄せている場合もある。こうした事実も医療訴訟回避におけるインフォームド・コンセントおよびコミュニケーションの重要性を強く推認させていると考える。

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