日本の医療政策はこの1年の動きにより将来の状況が決する(Oさん・医師)
私は都内の周産期センターの一つである日赤医療センターに勤務する産婦人科医師です。産科や小児科、外科、救急などの中堅医師の待遇改善について、早急な対策が必要だと思っています。現在と状況が変わらなければ、今年で辞めようと思っています
私の携わっている、産科を中心に書きます。医療の崩壊が叫ばれていますが、この1年の動きにより将来の状況が決すると思っています。このまま有効な手だてを講じないと、産婦人科医は急激に減少していきます。それに伴って、産科関連の死亡者は急激に増加してゆき、そのうちニュースにもならない状況になると思います。お産で死亡することがあるのは一昔前には当然の事でしたから、昔の状態に戻るだけとも言えます
当院はその中ではかなり恵まれた条件の病院であり、都内および関東圏の産科医療の要として残っていく病院と考えます。しかし、そのような重要な病院でさえも、数人の中堅医師の退職により瞬く間に崩壊する可能性があります。例え医学部の入学者を増やしても、教える立場にある医師がいなくなっては医療レベルを保つことはできません。現場の医師が、もう数年くらいは働こうと思う対策を緊急に導入していただきたいと思います。
私自身が働き続けるために導入してほしいことを以下に列挙します。現在と状況が変わらなければ、今年で辞めようと思っています。
1.夜間勤務に対する、大幅な優遇策(不人気の診療科は夜間勤務がある科が多く、人気の科は昼間中心の勤務となっています。夜間と日中の時間給を10倍くらいの差をつければ、科目間の基本給を変えなくても不人気な科の待遇を向上させることができます)
2.超法規的にでも法律を作って、一時的に救急医療に対する訴訟を禁止して、救急を担う医師の訴訟に対する危惧をなくすこと(現在の医療訴訟を見ていると、無理な中で何とか頑張って助けようとすることが、無謀な医療として訴訟の対象になっています。これでは医師の少ない病院では、得意な科目だけしか救急を行えません。また、専門医であっても、複数の患者を同時に診るようなことができません。医師の絶対数が少ないことは明らかですから、医師数が増加するまでの間は、一人の医師が診察できる患者を増やす必要があります。それには、やや無理をしてでも診察しようとする医師が安心して治療に専念できるように、訴訟を禁止することが必要と思っています。このままでは、頑張る医師ほど訴えられるため、診療を辞退する状況がますます増加すると思います)
3.夜間救急や、特別扱いの医療に対する経済的負担を10倍くらいに高くすること(現在では、夜間救急の患者負担は低く抑えられており、無用な受診を促す結果となっています。「明日、旅行に行くから」などの理由での時間外受診も多いです。また、不必要に長時間の説明を求めたり、特別な要求をしたりする人もいます。特別なサービスには特別な費用が発生するのは、当然です。このような費用を請求できるようにしてもらいたい。医師の夜間勤務の負担軽減にもつながります)
4.救急車の使用に対して、一律2万円程度の料金を徴収する(異論はあるようだが、本当の救急であれば、入院になることが多く、入院となれば、数十万の医療費が発生するのであるから、当初の2万円は問題にならない。軽症で受診するのであれば救急車を呼ぶことを躊躇するであろう。このくらいの負担が必要)
5.テレビのニュースの後に、患者教育番組を流すこと(すぐに病院に行く必要のある症状、待てる症状との違いを広く知ってもらうことにより、不要な受診を防ぐことができる。患者にとっても、医師にとっても有効)
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