医療議連に寄せられたご意見 |
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現行法の過失・医療水準の定義はあまりにも漠然とし過ぎています。(医師・Kさん)私は熊本県に住む40才男の勤務医です。杏林大学割り箸事件の被告人に対する刑事責任追及を不当であると考え、裁判傍聴など彼に対する支援活動を約5年行っております。一般論としては、追求するべき行為を明確に規定すれば医療刑事責任追及を全否定しません。名著「医療崩壊」で小松秀樹先生が主張される「医療刑事免責より医事刑法の明確化」に賛同する立場です。ただし、産科・小児科診療に対しては、その緊急性からみて制限又は刑事免責が必要です。現行法の過失・医療水準の定義はあまりにも漠然とし過ぎています。 例を示します。研修終了直後の3年目耳鼻科医が、一見 耳鼻科外傷でありそうで、実は稀な脳外科的外傷であった、とします。彼に求められるべき医療水準は何か。国家試験合格直後の医師として最低限の知識か。脳外科専門医と同等の知識か。判例の示す医療水準は場当たり的です。医師の専門性というものを無視し、専門外についても専門家と同等の技量を要求する判例が数多く出ている。割り箸事件でも、経歴に関する議論が非常に希薄でした。経験が浅くても、専門外でも高度の水準を要求されれば、医師は自己防衛的診療を行います。自分の能力を超えることは誰にもできません。 そして 単純な勘違いというもの。これについてどう対応するべきなのか。厳罰あるのみでよいのか。これについては残念ながら未だ持論というものを持てずにおります。 世間一般の医療不信については、故無きものとは思っておりません。医療が高度化する過程で、外部から理解し難くなっている現実が存在しています。自省しますと、私も司法に対する無知無理解があり、傍聴活動を続けながら司法と医療の文化のギャップに驚くことが何度もありました。医療と患者の相互不理解を解決する方法として、訴訟はあまりにも不適切であり、別の手段が必要なのは明らかです。 日本の弁護士会やドイツ医師会と同様の医療者による自治・自律性を私案として考えていました。医療事故処理に関する今回の厚生労働省第3次試案は大筋で納得できるものだと評価しています。調査と行政処分を別の部門が行うべきだ、とした点については 医療不信がある現状では 私の案より優れているかもしれません。 第三次試案の各項について意見します。 試案10項 「モデル事業を参考にする」の記載はモデル事業の失敗を無視したタテマエに過ぎます。 16~24項 届出手続については、このままで充分改善されていると思います。 38項 医療機能評価機構の医療事故情報収集事業については 報告書を毎月見てますがまだまだ不十分で過大評価気味と感じます。 39項「重大な過失」の定義は非常に重要です。40項の定義では不十分です。過去の判例はあまりにも過失を広義に規定しています。過失の定義については刑事と民事で分別した定義も必要と愚考しておりますが、これはもう、医療の問題ではなく法律の問題になりますが、絶対に必要です。 今回の試案では死亡事例を扱うので精一杯ですが、死亡以外の事例にどう対応するのか。さらに、医師からみて明らかに存在する、不適切な医療と医師の裁量権の関係をどう規定するのか。これも今後の課題として残っています。 修正点は多少あるものの、今回の試案は大筋で賛成するに足るものだと思います。ネットでみられる医療者からの反対論は、厚労省・司法に対する不信感以上の根拠に乏しく見えます。試案を実行に移すにはまだまだ幾多のプロセスがあり、多大な予算と人員を要するでしょう。医事紛争を多少学んだ者として、実行に参加し、内部から運営の適切性を見ていく形で協力することもあるかもしれないと感じています。 |
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