医療議連に寄せられたご意見

医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟

医療議連に寄せられたご意見

産科医療において現在崩壊が際立つのは様々な要因があります。(医師・匿名希望)

私は勤務医をしております。医師になり約10年の年月が経過しました。
この10年は日本の医療にとって失われた10年(The lost decade)と言ってもいいでしょう。
現在医療で問題になっている事柄はすでに10年前から問題になっていた事ばかりで、「いつかはそうなるだろう」という言われていた事柄が具現化しただけです。その中で最も衝撃が大きかったのは「福島県立大野病院産婦人科医師逮捕」だと考えます。
http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=FrontPage

また社会情勢の変化も見逃せません。原因は私にはよくわかりませんが、あらゆる事柄に対して非常に他罰的・非寛容な方々が増えてきています。
こういった方々が医療に求めることは、「なぜ入院しているのに死ぬのか」「なぜ病気で死ぬのか」その他、言い出したらきりがありませんが、科学的・医学的に首をかしげざるを得ない要求を我々に突きつけてくる事がとくにここ数年本当に増えました。残念ながら人はいつか死ぬのです。
生きながら死に向かっているのです。
http://blog.goo.ne.jp/peak1839/e/3965f9f5355f7643db26fb03dca8f0da

産科医療において現在崩壊が際立つのは様々な要因があります。
まず、産婦人科の中で産科医療・不妊医療・悪性腫瘍の3つの領域が存在するため産科医療に携わっている医師の実数はかなり少なく、統計にも現れにくく、そして、妊婦と胎児は産科医にしか診る事ができないという厳然たる事実があります。他科の医師にお願いすることができません。代わりがいないのです。その分、過重労働に陥りやすいのです。また、厚生労働省医政局看護課の存在も見逃せません。
そして妊婦は年齢が若く、今のご家族も「お産で死ぬ」とは思っていない事がままあります。
残念ながら、お産で人は死ぬことがあります。帝王切開は当初、経膣分娩で子供が出てこない時に、母体が高率で死亡するのを前提に、胎児を娩出するのが目的で考えだされたものです。もちろん経膣分娩で死ぬこともあります。産科医療に関しては意見を寄せている方がいらっしゃると思いますので、割愛させていただきます。http://blog.hashimoto-clinic.jp/200707/article_2.html

さらに大村秀章議員のように「医療の不確実性」を理解できない方の発言をみるにつけ、医療者側から見ると「これ以上医療に関わってはいけない」という危機感が増すばかりです。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200801/505406.html
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/20795394.html
http://zainomusou.blogspot.com/2007/12/blog-post_23.html
とはいえ、以前政財界の方々を診察する機会がありましたが、残念ながら科学的に医療・医学を理解する能力・論理的思考能力が欠けている方が殆どでしたので、大村議員が特別に能力が低いというわけではないようです。

医療に対して議員の皆様が危機感を持っていただけるのはいいことですが、そもそもの原因の一つとして日本社会の専門家への評価の低さも根底にあると考えます。ゼネラリストを重んじる流れが日本社会にあるため、相対的に専門家への評価が下がるのでしょうか。
介護報酬の低さはそれを端的に表していると考えます。
「老人の面倒を見るなんていう『誰にでもできる』仕事はこの程度でいい」と思っているとしか思えません。
介護の仕事は「誰にでもできる」仕事ではありません。すくなくとも私にはできません。強い忍耐と観察力が必要です。
報酬の低さと低い評価と劣悪な労働環境は人の尊厳と志を傷つけ、離職を招きます。
勤務医の離職が耳目を集めていますが、医師だけではありません。他の医療職種でも介護の現場でも同様の事が起きているのです。

超高齢化は人口動態を考えれば避けることは不可能で、これから日本社会は多死社会を迎えるのは間違いありません。
幸か不幸か医療が高度化してしまったため、70歳の方が具合が悪くなられても、適切な介護・医療を受ければ長生きをされ、亡くなるのは90歳という話は普通になりつつあります。つまり20年間医療・介護が必要になります。
これを少人数の核家族で対応するのは不可能です。共倒れか心中になります。そのために療養型・介護型病床があるのですが、病床・報酬ともに国は削減の方針です。
この国は医療を、国民を、社会保障をどうするつもりなのか、グランドデザインを描き、方針を提示していただきたいのです。
高齢者は国から見れば、年金も払わなければならず、死ぬ時には医療費がかかり、選挙権もあり、厄介な存在なのでしょう。
「高齢者は早く死んでいただきたい」ということならばきちんと言うべきでしょう。
きちんと言っていただければ対策を立てられます。もちろん同時に積極的安楽死を法的に可能にするようにしていただかないといけません。

また小児医療無料化といった施策も現場を疲弊させています。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/inose/071023_13th/
http://d.hatena.ne.jp/hibigen/20050428#p1

司法のあり方も現場の医師・医療従事者を追いつめています。萎縮医療の拍車をかける一方です。
改正検察審査会法にしろ、いわゆるとんでも判決にしろ、我々を追いつめ、萎縮させます。
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-22.html
http://blog.m3.com/Fight/20080128/1

おそらく多くの方々が指摘されるとは思いますが、マスコミによるミスリード、事実誤認に多くの患者さんがだまされ、医師ー患者関係を築くのに支障をきたす事もめずらしくありません。
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/12/112_bdea.html
http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-233.html

議員の皆様は次の選挙に当選しなかれば議員活動を継続することができないですから、いろいろな義理もあるでしょう。
すべての人を満足させることは不可能で、医師の数にも財源にも限りがあります。
しかし、このままで本当にいいのでしょうか。
なにを削ってなにを増やすのか、よく考えていただきたいのです。

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