医療議連に寄せられたご意見

医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟

医療議連に寄せられたご意見

医療危機に関して、根本的な問題は医師不足云々と言うより・・・(医師・Kさん)

私は北海道在住の外科医師です。公立小病院に勤務し地域医療の一線を担っていると自負しております。
さて、現在の医療危機に関してですが、根本的な問題は医師不足云々と言うより限られた資源である医療リソースをユーザーである患者およびその家族が誤った使い方をしていることにあると考えております。
例えば救急医療のデータを呈示すると救急車の出動件数はこの10年間で約2倍に増えています。この間、日本の人口が2倍に急増したわけではなく、はたまた交通事故件数が2倍以上にふくれあがったわけでもありません。一方、救急車のタクシー代わりの利用がそんなに増えたかというと、これも現場の実感とは一致していません。これらのデータが示すことは確信犯的タクシー代わり利用ではなく、「心配だから救急車を呼んだ」という事例が多くなったと言うことではないでしょうか?
同様のことが地域基幹病院の救急でも言えます。休日夜間の救急はここ数年異常な伸びを示しておりますが、伸び分については同様の「心配だから来院した」というケースが多くを占めています。
現在の医療危機の根幹は地域基幹病院医師の疲弊と離脱に伴うものです。ユーザーである患者の受診動向に何らかの抑制をかけない限り、いくら医療費を増やそうと医師を増やそうと医療崩壊は確実に進行していくと思われます。

一方、私の勤務するような地域小病院からも医師は離脱傾向にあります。これは派遣元である大学病院の医師不足が主体ではありますが、病院自体の問題もあります。このような病院の問題点は以下のように分析出来ます。
地域住民は多くは病院の存続を求めます。しかし、実際の受診動向はどうかというと住民の国保受診率が20%未満のところが大半を占めています。また、多くの住民の要望は「入院と救急だけは維持して欲しい」です。この言葉を字義通りに解釈すると「(外来はどうでも良いから)入院と救急は維持して欲しい」ということになります。これはどういうことか?本来、入院医療は外来診療でどうしても無理な場合にやむを得ず行うものです。また、救急医療は外来フォローしていた方の急変や急病に対応するものです。なのになぜ「入院と救急だけは」なのか。これは住民の要望が「高齢者の社会的入院とコンビニ救急は維持して欲しい」であることに尽きるかと思います。
要するに住民がプライマリーケアの重要性を認識せず、誤った専門医指向の元に誤った受診動向を繰り返している為に基幹病院は周辺から集まる患者で疲弊し、地域小病院は社会的入院とコンビニ救急で経済的・肉体的に疲弊する為、地域医療が崩壊していると考えられます。

これらの問題に対する一つの回答が柏原の「小児科を守る会」の活動であり、夕張の村上医師が瀬棚で行ったことであると思います。つまり、ユーザーである患者・家族自身が医療リソースの正しい使用方法を認識する、そのような勉強会・学習会を繰り返すことことが現在の医療危機に関する唯一の処方箋であると考えます。これらの学習会は小規模で行う方が個々人が認識する為にはより効果的ではありますが、地域社会全体への効果となると効果が減弱します。従って小規模の学習会+そのネットワーク化という方策が最も有効であると考えます。
現在、私の発案から当町の町議を中心として「地域医療を守る地方議員連合(超党派)」を結成しようとしております。地方議員は地元への密着度が高い為、これらの学習会を主導するには良い立場であると考えます。国会議員の皆さんにはこのような活動の主導、援助をいただけたらと考えております。

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